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19. 変形を扱う幾何学

19.3 曲線を扱う数学的方法


19.3.3 大きな変形を追いかける計算

図19.5 弾性針金のエラスティカ
 細い弾性針金の曲げ変形は、部分的には小さいのですが、その全体は大きな曲線になることもあり、一意の解析解を提案することができません。変形が大きくなる場合の解析は、大変形理論と総称します。実用的な理論には、大の字の付かない変形理論(deflection theory)があって、吊橋の計算に応用しています。これは、変形後の形状で力の向きが変ることを精算する方法です。或る平衡状態で、僅かに力が変化して追加の微小変形があるとき、線形計算を応用します。大変形は、変形理論を何回も繰り返す方法で計算します。部分的には小さな変形であっても、その全体が大きな曲線になる場合の例に、エラスティカがあります(図19.5,出典が判らないまま引用した図です)。或る力の釣合状態での形状を0位置としておいて、僅かに力が変化した状態の変形を微小変形理論で計算し、それを加算した状態を再び0位置として、次の変形を計算します。つまり、力と変形との関係は、全体を通すと非線形です。コンピュータが利用できなかった時代は、手の掛かる精度のよい数値計算ができませんでしたので、想像を加えて作図したようです。
2009.7 橋梁&都市PROJECT

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