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19. 変形を扱う幾何学

19.3 曲線を扱う数学的方法


19.3.2 曲線を折れ線で近似させる

 構造物をモデル化するときは、細長い形状であっても、ミクロにはトラス状の構成を考えます。滑らかな曲線を描く梁の解析では、連続した代数関数で形状を扱うことができる場合であっても、応力や変形を具体的に計算する個所は飛び飛び(離散的)の場所ですので、最初から直線部材を折れ線状に繋ぐ構造でモデル化しても良いわけです。真っ直ぐな梁が力を受けて変形することを扱うときは、変形が相対的に微小であると仮定します。しかし、梁の長さが長くなると、部分的には変形が微小であっても、全体としては大きな変形になります。細くて真っ直ぐな弾性針金の曲げ変形を表す式は、変形が小さい場合には、三次式までで表すことができます。構造設計で扱う梁の変形の解析は、長さに較べて変形が微小であると仮定できる範囲を扱います。これを微小変形理論と言い、線形計算を応用します。これは、力と変形とが比例関係にある性質です。これには、もう一つ仮定があって、部材に作用している相対的な力の向きが、変形前と変形後で同じであるとします。容易に理解できるように、曲げモーメント一定で大きな円弧を描く変形は正弦関数を使うことになりますので、三次式で表す曲線とはズレてきます。
2009.7 橋梁&都市PROJECT

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