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19. 変形を扱う幾何学

19.3 曲線を扱う数学的方法


19.3.1 図形の再現を考える

 或る元図形があって、それを正確に再現する技法が幾何学の作図法です。前節は、再現に必要十分な形の条件を骨組み構造で吟味しました。次の段階は、この情報を使って、同じ、または大きさを変えて相似な図形を再現することの技法を考えます。幾何学では、長さを数値で表すことをしないで、比の関係を主に使いますが、実際に作図するときは、単位寸法を基にした数値を使って長さを測ります。机の上で考えるような小寸法の作図ならば、寸法の入った定規とコンパスを作図道具に使います。しかし、広い地面をキャンバスに見立てて平面図形の骨格位置を決めるとき、長さは巻尺を使いますが、コンパス相当の器具がありません。定木に変えて直線を引く手順は、見通しに使う2点を決めます。より正確な位置決めには、目標点の近くに補助的に丁張り(ちょうはり)を設け、水糸を引いて眼に見える直線を実現させます。角度は、数値的に与えることができませんので、見通し直線から垂直方向のズレを寸法で与えます。勾配などの角度は、比で言うこともしますが、原理的には三角形の辺の比で決まる角度を使います。これらの手順は、線分を折れ線状に順に?いで目標点を決めていくことです。平面的に広がった網目構造は、或る原点を起点として、木構造のような枝分かれをしながら、すべての目標点の位置を確定していきます。その、幹に相当する一続きの折れ線の作図を、理論的に滑らかな曲線として扱うことにします。そこで、曲線を表す数学的方法が必要になる、と言う筋書きになります。
2009.7 橋梁&都市PROJECT

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