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19. 変形を扱う幾何学

19.2 静定と安定


19.2.5 大地を含めた静定と安定

 宇宙ステーションのように空間に浮いている構造は、移動も回転も自由にできます。地球上の構造物は、大地の上に構築します。この構造を考えるときは、大地の側に、節点に当たる幾つかの支点を考え、支点とトラス側の格点とを結ぶ部材を追加します。大地側の節点相互を結ぶ辺を、必要としません。静定で安定である立体的なトラスの組み方の条件は、M=3Nです。前の条件式と6だけ違います。この、数の差は、全体構造が空を飛ぶような、移動と回転の自由度の数を表し、また、力学的には力の釣合条件の数です。内的に安定な一体ものの構造を大地の上に支えるときは、考え方としては、6本の部材を追加して支点と結びます。しかし、構造物の支点構造は、ピンやローラなどが使われ、外見では余分な部材を使っていないように見えます。しかし、固定支点・可動支点・ヒンジ支点などの構造上の区別があり、どちら向きの反力成分を受けるかを決めます。その数が、追加部材数に当たります。立体的な構造を支えるには、場所的には少なくとも3支点が必要です。机や椅子は4脚が普通です。脚の長さが不揃いであると、安定が悪いことがあります。これを抑えるためにゴムを挟むと、このゴムは不静定部材です。三本脚は、三つの力で静定に支持されていると勘違いしますが、二方向の水平移動と全体回転を抑えなければ、力学的に不安定です。大地を含めて静定・安定を言うときは、構造力学では外的静定・外的安定、空中にあって形が崩れない場合は内的静定・内的安定と区別して言うことがあります。トラス橋の設計では、計算が複雑にならないように、平面トラスの組み合わせた箱構造を扱います。平面トラスの外的静定・外的安定である条件は、M=2Nです。前の条件式との違い3は、平面構造力学の釣合条件の数です。
2009.7 橋梁&都市PROJECT

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