図19.3 静定で安定な箱構造を作るトラス骨組み
蓋をした四角形の紙箱は、外形的には四角柱です。頂点数=8、辺数12、面数は6です。この形状をトラスで組むことを考えます。静定で安定なトラスに構成するには、格点数8に対応して部材数18が必要ですので、不足分6を補う必要があります。これは、各四辺形部分に筋交いをいれます。そうすると、面がすべて三角形である12面体と骨格が同じです。つまり、四角柱を構成する四辺形が平面を保つように、静定で安定なトラスを組むことは、非常に限られた条件のときだけです。蓋をしない紙箱は、変形し易いのですが、蓋の部分に斜めの部材に相当する一本の支えを入れると、丈夫な箱に変身します。静定で安定なトラス組みから、四角柱を上に重ねるときは、それまでの最上段の4格点の上に新しく4格点と12部材を追加します。この12部材とは、最上段の四辺形の4辺、柱として追加する4辺、4側面に当たるところに筋交いをいれます。最上段の四辺形に筋交いを入れると、静定条件の部材数よりも1だけ多くなりますので、不安定なようにみえても、計算上は必要としません。この方法でトラスを上に重ねて行くと、柱の内側に素通しの空間ができます。そこで、一番底から2段目、最初の箱単位で蓋の位置にある筋交いを外して、一番上に付け変えます。こうしてできる構造は、細長い四角形断面の箱の骨格です。トラス橋は、この構成原理を応用した構造になっていて、トラスの内側を通路に使います。橋の両端は、筋交いを設けると通路を塞ぎますので、入り口部分は丈夫な枠構造(ラーメンと言います)にして変形を抑えます。
2009.7 橋梁&都市PROJECT |