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19. 変形を扱う幾何学

19.2 静定と安定


19.2.3 三角柱のトラスモデル

図19.1 一般的な三角柱
 断面形が三角形をした高さが低い柱の外形を、障子を作るよう木枠で作ってトラスを組み、それに紙を貼るような工作をすれば、見掛け上、中身の詰まった三角柱に見えます(図19.1)。外形からは、格点数がN=6、部材数がM=9です。実は、この構造では、静定で安定なトラスとしての部材数が、M=12の条件よりも3不足します。このように組んだ三角柱トラスは、不安定です。側面の四辺形が捩れるような変形ができます。静定で安定なトラスにする条件は、側面の四辺形部分に、斜めの部材(筋交い)を入れます。そうすると、側面も三角形の集まりになって、面数が8になります。プラトンの正8面体は、非常に特殊な三角柱として見ることができます(図19.2)。この図は、参考書に紹介されているプラトンの正八面体の図を45度回転させたものですが、何も説明なしにこの図を見て、そうとは直ぐには分らないと思います。多面体の幾何モデリング(第6章と第10章)の考え方をすると、側面も3角形で構成し、面の総数が5から8に増えます。三角柱単位を上に重ねるようにしてトラス柱を高くする構成方法は、格点数3、部材数9本の割りで増やします。このように構成した三角柱は、部分的な断面が六角形です。

図19.2 プラトンの正八面体(特殊な三角柱)
2009.7 橋梁&都市PROJECT

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