目次ページ  前ページ   次ページ

19. 変形を扱う幾何学

19.2 静定と安定


19.2.2 トラスは骨組みで構成する構造物である

 構造力学では、トラスの形状を扱う基礎概念に、安定(stability)と静定(statically determinate)とを踏まえます。安定で静定なトラスとは、上の項で解説した節点数(格点数)と辺数(部材数)の関係を満たすような組み方になっている状態を言います。トラスの構造仮定は、骨格に相当する部材を関節で繋ぐように、すべてピン結合とします。どれかの部材を外すとピンの個所で回転が起こって形が崩れるようなとき、元の組み方が安定であると判定します。或る部材を外しても形が崩れないのであれば、その部材は余分であると判断し、これを不静定(statically indeterminate)部材であると言います。トラス部材の組み方が静定で安定であることを調べるには、部材数Mと格点数Nとが上の項で説明したと同じ関係にあることを確認します。辺の長さが変らなくても変形が起こる可能性があるものを、不安定と言います。機械構造では、意図的に移動や回転の自由度を持たせた組み方を扱います。こちらの方の学問を機構学(mechanism)と言います。静定で安定なトラス組から適当に部材を取り去る、その数を自由度と言います。静定で安定な同じ構成の二つのトラスがあるとして、対応する位置の部材の長さ(比)に違いがあると、似てはいても全体としては別の形です。
2009.7 橋梁&都市PROJECT

前ページ  次ページ