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17. 図形の諸量

17.5 その他の定数


17.5.2 材料カタログの見方を理解する

 工業製品を作る過程では、幾つかの部品を集めますが、組み立て前段階の物を、成品、または半成品と呼んでいます。製品・成品は読みが同じですので、後者を「なるしな」と区別して言うことがあります。成品は、より単純な線・板・棒・柱状の材料を加工して製作します。加工の手間が省けるように、何段階かに分けた寸法系列や断面形状は、カタログ化して提案します。カタログは数値を主として編集します。材料を利用する立場からは、種々の寸法系列があると便利でしょうが、材料を準備する側から言えば、或る程度に種類を制限する方が効率的です。例えば、寸法系列の決め方には、自然発生的な経験則、例えば呼び寸法などが使われます。日本工業規格は、実用を考えた数値系列、標準数を提案しています。数学的・理論的な根拠で寸法系列を決めておいて、実用を考えて丸めます。これが公称寸法です。そうすると、実寸法・公称寸法・呼び寸法とで微妙に数の扱いが異なることが起こります。学問としての代数学は、数値を生で扱うことの代わりに文字記号を使いますので、カタログよりは計算式を集めた公式集の方を有り難がる傾向があります。ユーザは自分の責任で数値を計算することになります。公式集は考え方をまとめただけですので、それに代わる実用的な道具が、コンピュータを使うサブルーチン化した関数です。そうすると、例えば、円周率はπと書いて済ましているとき、詳しい数値並びを知りたいとしても、普通の数学参考書に載っていないことがあります。理科年表は、数値データに主眼を置いて編集してあることに価値があります。したがって、カタログや公式集を見て、それを応用するための実務的な応用知識が要求されます。
2009.5 橋梁&都市PROJECT

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