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17. 図形の諸量

17.4 主軸の計算


17.4.4 二次元の対称行列の場合はモール円法を使うこと

図17.3 モール円を使う二次元の固有値解析法
 構造物の部材応力を実験的に求めるときも、歪みゲージで測定した三方向の歪みから、主応力の向きとその大きさを計算します。このとき、二次元の対称行列の固有値と固有ベクトルの計算を必要とします。代数的な計算式を理解する方法として、図17.3のような座標と円とを使います。これをモール円と言います。作図方法は次のようにします。x軸上にTxx,Tyyの二点を決め、その中間に円の中心を考えます。Txxの位置でのy座標がTxyとなる点Pを求め、この点を通る円を描きます。そうすると、円がx座標軸を切る二点の座標が固有値λ1、λ2です。主軸方向を表すベクトルは、座標軸からθの角度で回転した向きです。モール円では、これを動径の偏角2θから求めます。代数式を求めるときの説明図としてはこれで十分役に立つのですが、主軸の向きがx軸から±どちらに振れるかを判定する必要があります。θの絶対値を45°以内にすることが一つの条件です。なお、一般的な固有値解析でJacobi法というのは、2座標成分ごとにこの方法を繰り返して対角線成分を0にする計算法です。
2009.5 橋梁&都市PROJECT

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