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17. 図形の諸量

17.4 主軸の計算


17.4.1 慣性モーメントと二次モーメントの違いを理解しておく

 図形の二次モーメントの数学的な定義は、前章の式16.1に示しました。慣性モーメントは、マス(質量)を乗じた値で使い、回転し難さを表す力学的な意義があります。z軸を回転軸とするときは、x軸とy軸の二次モーメントの和が慣性モーメントです。構造力学で梁の曲げ剛性を計算するとき、断面図形を(x,y)座標で約束しておいて、x軸回りの二次モーメントに記号Ixを当てる習慣があります。しかし、数値計算は面積要素にy2を乗じて積分しますので、記号の使い方として見れば、統一が取れていません。不等辺山形鋼のカタログは設計計算のときに参考にするのですが(第16章、図16.9)同じ様に座標記号を取り替えて表しています。主軸を計算するときは、式16.1に示した6つの二次モーメントを対称な三次のマトリックスにまとめ、このマトリックスの固有値と固有ベクトルを求めます。固有ベクトルの向きを新しい座標軸になるように座標変換をして、その座標軸を元に二次モーメントを求めると、相関モーメント分が0になります。この新しい座標軸方向を主軸と言い、図形を表す座標系の座標軸をこの方向に合わせることを主軸変換と言います。
2009.5 橋梁&都市PROJECT

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