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17. 図形の諸量

17.2 単純要素への分割と合成


17.2.4 ベクトルとマトリックスの表現法を利用すること

 平面図形の基本的なマスプロパティは、重心位置と面積です。平面座標系(x,y)を媒介変数に使うとき、重心位置を計算する代数式は二組必要です。多面体の場合は、多角形の面が立体的な位置関係にありますので、見えている側の平面図形で面積を計算しなければなりません。多角形の頂点座標も三次元的に(x,y,z)で与えます。座標変換を組み込んで平面座標系に変換するのではなく、最初から三次元的に扱うことを考えます。これには、頂点座標を位置ベクトルで与えておいて、ベクトル記号を使う方法で整理します。二次元の図形は、三次元座標において、一つの座標軸の値を一定値と置きます。立体的な位置関係にある平面図形の頂点座標は、幾何学的に一平面に載っている条件が必要ですが、三角形を扱えばこの条件を考えなくて済みます。ベクトルを使って三角形の重心や面積の計算式を表すことは、次節で説明します。具体的に数値計算をするときは、ベクトルの座標成分ごとに計算するプログラミングをします。それは、同種の計算式を座標軸成分ごとに三回繰り替えすことになります。普通のプログラミング言語では、ベクトル記号そのままを使うことができません。同じ手順で複数組みの計算をする場合のプログラミング技法は、サブルーチンにまとめる方法が普通ですが、大規模な計算をするときには、計算時間を節約するため、ハードウエア的に複数のCPU単位を並列に利用する考え方があります。これをベクトル計算機と言います。通常のコンピュータは複数の入力データから一つの計算結果を得る方式ですので、スカラー計算機と言うことがあります。
2009.5 橋梁&都市PROJECT

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