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17. 図形の諸量

17.2 単純要素への分割と合成


17.2.3 単純な形状のマスプロパティの計算

図17-2 相貫円柱(宮崎)
 単純な立体図形の造形で最も基本的な形状単位は、任意の平面図形を底とした柱です。側面から見る図形は矩形です。どの側面から見ても三角形であるのが錐体です。クサビ形の標準形は、矩形の柱を面で切断して、側面二方向を矩形と三角形にしたものです。三方向から見て、それぞれに独立した任意の平面図形を考えることができます。その最も代表的な形状が平行六面体です。各面は平行四辺形です。任意の底面形状を持った柱を、平行な斜めの面で切り取った形は、二つの側面形状が、平行四辺形と矩形です。三方向から見た図形が任意の平面図形になるような図形を相貫体と言います。三本の円柱を互いに直交するように交わらせ、その共通部分の形状を相貫円柱と言います(図17.2)。通常の平行投影法で図に描くと、外形が三つの円になるのですが、これは球の投影と誤解され、言わば騙し絵になってしまいます。この図形の体積を理論計算で誘導したいとなると一筋縄では得られません。計算式が知られている形状は限られていますので、一般的には力ずくで数値計算をしなければなりません。これが計算幾何学の課題です。その方法は、任意の立体形状を多面体の数値データとして準備することですが、これは第10章で概説しました。次の取り組みは、この多面体データから三角錐の集合に直します。三角錐のマスプロパティの計算式を求めておくことが、計算組み立ての出発です。しかし、さらにその前に、立体的な位置関係にある平面図形の重心や面積などの計算を求めておかなければなりません。
2009.5 橋梁&都市PROJECT

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