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17. 図形の諸量

17.2 単純要素への分割と合成


17.2.2 単純な部品をプリミティブと言う

 面積や体積計算をするとき、一続きの全体構造を幾つかの単純な要素に分割して積算する方法を使います。平面図形の面積計算では取り立てて意識しませんでしたが、複雑な立体形状の体積計算は単純ではありません。図形のプリミティブとは、理論的に扱い易い単純形状を指し、工業的な部品造形単位とは考え方が同じではありません。プリミティブは、直方体・円柱・くさび形、少し特殊ですが錐体も使います。曲面を持つ円柱や円推形の部品は、旋盤などを使う基礎加工はできても、さらに加工をすると表面積や体積を計算するときの要素分割が単純化できなくなります。したがって、曲面を含む複雑な立体形状を数値的に扱うときは、多面体でモデル化します。表面積の積算は、多面体の面積を積算すれば求まります。多面体の体積は、三角錐の集合に分割する方法を考えます。あまり複雑でない形状であれば、手計算に向く様に直方体を含めた分割を工夫することができます。実践的には、幾つかの形状単位や部品単位で個別のデータを準備しておいて、それらを組み立てることを考えて積算します。専門別のデザインマニュアル・ハンドブックなどは、このような個別形状のデータを編集したものです。材料積算は会計計算と似ているところが多く、設計では締めくくりの意義をもつ重要な作業です。凝った計算手順を使うよりは、検算が容易にできて、流れ作業に向き、また分担しても作業ができるような方法が工夫されます。この段階にコンピュータを応用するときは、汎用のプログラミング言語よりも、EXCELなどの表計算ソフト(spreadsheet program)を使う方が便利になりました。
2009.5 橋梁&都市PROJECT

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