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17. 図形の諸量

17.1 初等幾何学の体積計算


17.1.3 三角錐の体積計算は計算幾何学の問題になること

 三角錐の体積を代数的に求める方法は、区分求積法の応用で説明できます。一定厚みの相似な板要素を積み上げて、三角錐を近似的に表します。高さ方向の板要素の面積は、三角錐の頂点から底面に向かって高さの二乗で増加しますので、二乗数列の和の公式を使います。板の厚みを小さくして分割数を大きくした極限として体積公式が得られます。この過程は、積分の説明です。ここまでは学問的な議論です。具体的に数値計算に応用することが、計算幾何学の課題です。実生活では、複雑な立体図形の体積は、計算で求めるよりも、実物を使って水の体積に置き換える・重さを測る、などで得られます。立体図形についての数値的な諸量は、物理学・力学・応用力学の研究と関連して必要になってきたものであって、マスプロパティ(mass property)と総称しています。力学的な量としては、重心位置・慣性モーメント・主軸の向き、などです。応用技術に関連すると、このほか、幾つかの量を扱います。表面積・外形寸法などもそうです。工業設計では、簡単な構造であれば、試作品を作って計測することができます。土木構造物の計画設計では、実物が大きすぎて試作品を作ることができません。未だ実物が存在していない状態で、モデルを仮定して数値計算でマスプロパティを求めなければなりません。
2009.5 橋梁&都市PROJECT

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