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17. 図形の諸量

17.1 初等幾何学の体積計算


17.1.2 体積を計算で求めることは難しい

図17.1 等しい体積の三角錐に分割する切断面
 地形を計測して長さや面積を求める技法は、そもそも幾何学(geometry)の名称そのものを意味しています。初等幾何学は、殆どが平面幾何学を扱います。平面幾何学は、三角形の性質を扱うことから始めます。同じように、立体幾何学も、三角錐(または四面体)を題材とした問題を扱うことから始めたいと考えます。しかし、三角形と円との組み合わせに相当するような、三角錐と球とを組み合わせる問題は、現実的ではありません。円はコンパスで簡単に描けます。立体幾何学を考えるには、何かの材料を使ってモデルを作成して理解することもします。しかし、球を描く、つまり立体図形の作成過程で、正確な球面を造形することは簡単ではありません。三角形の重心は平面図形として具体的に確認できますが、三角錐の重心のような、立体内部の点の位置は、外から見ることができませんので、想像で理解するしか方法がありません。初等幾何学の範囲で立体図形の性質を具体的に表す量としては、外形寸法、表面積、そして体積までです。柱状の物体の体積は、底面積×高さです。錐体の体積は、「底面積×高さ÷3」と習います。三角形の面積を求める公式は、「底辺×高さ÷2」です。この証明は矩形(平行四辺形)に対角線を引いて二つの相似な三角形に分けることで簡単に理解できます。三角錐の体積については、三角柱を二つの面で分割することで、等しい体積の三角錐3個に分割ができます(図17.1)。しかし、どこで切断するか、の面の決め方で混乱します。さらに、三つの三角錐が相似ではありませんので、私事ながら、中学生時代、体積が同じであることを納得するまでに時間がかかりました。
2009.5 橋梁&都市PROJECT

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