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17. 図形の諸量

17.1 初等幾何学の体積計算


17.1.1 体積と重量とは相互補完の形で使っていること

 前章では、長さと言うとき、距離だけでなく、時間を測るときにも使い、相互に関連を付けて理解することを解説しました。長さは眼で見るなど、感覚的に理解できる量です。重さは、自分で持てる程度しか感覚的に判断できませんので、重さは知識として覚えます。それに代わるのが、体積のような寸法を媒介として理解することです。面積を測る場合と比較すると、体積を測ることは、日常活動ではずっと一般的に行われています。体積に代えて、重さを使うこともごく普通です。例えば、お米の計量は、石・斗・升・合(こくとしょうごう)の容積単位で測りました。お米一俵は4斗で16貫、60kgです。お酒などの流体は一升瓶(1.8リットル)が流通の単位でした。家庭用石油ストーブの石油購入単位は18リットルです。何か半端な量と受け取られるようですが、一斗単位を使う習慣からきたものです。お酒の入れ物には樽を使いましたが、これは日本風バレルです。容量として1、2、4斗樽があります。計量単位系は、生活に密着します。学問的な根拠があるとしても、計量単位を切り替えることに違和感を伴うのは仕方のないことです。米国では、日常的にフィート・ポンド法を使っています。容積でお米を計量すると、ゆるく詰めるときと固く詰めるときとに差がでますので、商品として扱うときは重量を使います。重量を言うとき、学問的には比重や密度の方を考えますが、実践的には風袋重量や単位重量を使います。荷物輸送を扱う流通や貿易業界では、荷物の計量単位は梱包全体の体積が主で、重量は従の扱いをしています。体積を計算する代わりに、小包などは縦・横・高さの合計寸法も送料算定の基準に使います。貨物船の大きさを表すとき容積トン数で言います。この1トンは100立方フィート、約2.8立方メートルの体積を表します。
2009.5 橋梁&都市PROJECT

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