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16. 長さと面積

16.4 主軸と主軸変換の線形代数


16.4.2 図形を統計学的数値として計算する

式16.1 図形のモーメント
 平面図形の主軸を求めるには、予備的に幾つかの計算が必要です。力学では、図形は質点の集合と同義です。まず、重心は一次モーメントを計算して求めます。ついで重心回りの二次モーメントを計算します。二次モーメントは、統計計算では自乗平均値をルートに開く標準偏差の計算と同質です。これは部材では回転半径と呼ばれます。平面図形では縦横2つの軸について計算します。主軸計算には、二つの座標軸を使った二次モーメントも求めますが、これは統計量として相関係数の計算と同質です。式16.1は三次元の立体についての計算種類を示したものです。これらは三次元の式のまとめです。この式の最後に示した6つの定数を対称な3次のマトリックスに表し、その固有ベクトル固有値を求めることで、主軸の向きと主軸方向の慣性モーメントが計算されます。平面図形の場合には変数のxとyに関する数だけを扱う二次元の対称行列を解きます。図16.9の不等辺山形鋼では、斜めの軸が主軸を示しています。記号でix, iyを回転半径と言います。これは、統計量の計算では標準偏差に当たる数です。この他に、設計に絡む数として、断面係数核の位置など、幾つかの定数があります。なお、余談になりますが、代数計算で固有ベクトルの数値が得られても、それを前ページ図16.9のように図に描きこむところで、傾きがどちら向きになるかを判断するときに、少し頭をひねらなければなりません。
2009.4 橋梁&都市PROJECT

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