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16. 長さと面積

16.3 面積に関連した問題


16.3.1 単純な計算法を再確認すること

図16.6 プラニメータ
 平面図形の面積計算の基本は、三角形の面積計算です。最も初等的な算法が「底辺×高さ÷2」です。三角形の三辺の長さから面積を計算するヘロンの公式は、多くの参考書に紹介されています。しかし、あらかじめ個別の辺長を求めておく測定も計算も面倒ですし、ルートを開く計算が必要ですので、実用計算に応用することは殆どありません。計算幾何学的に扱うときは、3頂点の平面座標が与えられている条件から面積を求めます。この場合に、或る辺を底辺として長さを求め、頂点からこの辺に垂線を降し、その垂線の長さを求めて上の公式を応用する遠回りのアルゴリズムは使いません。幾何学的には、二辺の長さと、交角の余弦(cosine)から計算します。代数的には、一つの頂点を共有する二辺をベクトルとした外積(ベクトル積)の1/2で求めることができますので、辺の長さを計算する(ルートを開く)計算を使いません。立体的な位置関係にある三角形の面積も、この方法で計算します。積の順序を変えると、平面ベクトルでは符号が反転しますので、計算に使う頂点の順番に注意しなければなりません。複雑な形状の面積は、これを多角形図形で近似させ、さらに幾つかの三角形に分割して、個別の三角形面積の総和で計算します。三角形に分割する方法は幾つも考えられますが、計算幾何学的には、任意の一点を共通頂点に決め、多角形の辺を対辺とします。このときに、多角形の辺を、図形の在る側を左にみるように左回り(反時計回りに)たどる順で面積を計算します。穴の領域は右回りになります。これを周回積分と言います。共通頂点の位置は、図形の内側でも外側でも構いません。測量機械の一つであったプラニメータ(図16.4)は、周回積分を機械的な原理で実現させる巧妙な道具です。共通頂点を図形の外側に置くようにして図形の外周を手動でたどります。現在では殆ど利用しませんが、教育用として実物に触れる機会を作っておく価値があります。
2009.4 橋梁&都市PROJECT

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