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16. 長さと面積

16.2 距離に関連した問題


16.2.4 アポロニウスの円

図16.5 アポロニウスの円の集合とその反転図形(宮崎)
 二点だけを考え、二点からの距離の和が一定である点の集合は楕円、差が一定であると双曲線です。等距離ではなく、m:nの距離比になる点の集合は、この比で二点間を結ぶ直線上に内分点・外分点を求め、この2点を直径とする円になります。これをアポロニウス(Apollonius)の円と言います(図16.5)。m:nの比が1:1であると、内分点は2点の中点、外分点は無限遠になります。2点の垂直二等分線は、無限大の直径を持つ円が線分の中点を切ることになっています。ここまでは、初等幾何学の知見に分類されます。ボロノイ図は、計算幾何学の課題です。複数の点の勢力圏境界を求める図ですが、二等分線の作図の応用です。ボロノイ図を描くとき、点に質量のような重みで差を付け、重みの比で境界を引くことにすると、境界線は直線にはならず、部分的にアポロニウスの円を描きます。比率が異なると、小さい側は大きい側に対して円領域で封じられます。電解図や磁界図は、距離の二乗の比で領域を分割するグラフですので、円とは違う曲線になります。複数の点に個別に重みを与えて勢力圏図を描くとなると、円や曲線を引く作図が入りますので面倒です。それに代わる考え方として、半径を変えた円の集合にして勢力圏の境界を直線で区切る方法があります。これをラゲールボロノイ図と言います(杉原)。この他に、距離の関係を変えた変種のボロノイ図も多く研究されています。
2009.4 橋梁&都市PROJECT

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