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16. 長さと面積

16.1 長さを測る課題


16.1.5 座標系は原点を起点とした道筋で位置を指定するシステム

 或る点の座標を表す数値の組は、原点からその位置まで行く道筋と距離を指定する一つ方法です。直交座標系の考え方には、座標軸を外れて斜め向きを指定する方法を含めません。これに対して、極座標は、原点からの向きと、そこまでの直線距離とを指定する方法です。直線距離はユークリッド距離とも言います。直交座標系から計算するときは、自乗和とルートに開く計算が入りますので、算盤などを使う初等算術計算では手に余る難問です。つまり、計算幾何学の問題です。手計算でルートを計算する方法、また、昔の手回し計算機を使う計算術は、実用知識として覚えます。このこともあって、ルートを開く関数が一つだけ付いた簡単な電卓が売られています。都市計画は、道路計画でもあります。道路は、座標軸の性質を持ちますが、幾何学的な座標軸とは考え方が違っていて、平面領域をブロックに区切る線分の集合です。住所表示、つまり座標値を表すには二つの方法があって、ブロックに付けるのと、線分単位の道路に付けるのとがあります。どちらの場合も整数を当てる離散的な番号が振られます。昔の日本の長さ単位で、1町は60間、約100m強です。この長さは、方眼に都市道路を区切るときの適度な長さですし、1町四方が面積の1町歩、約1ヘクタールに当たります。町名はこの単位で付け、同名の場合は1丁目、2丁目と区切ります。銀座8丁は通りの長さが約800mであることが分かります。まちなか(街中)で道順を尋ねると、距離を「東へ3町ほど」のように答える習慣がありました。
2009.4 橋梁&都市PROJECT

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