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16. 長さと面積 |
16.1 長さを測る課題 |
16.1.4 三角関数は幾何に原点のある数値であること |
初等幾何学では、三角関数を使いません。初等幾何学では三角形の辺の長さを比の形で扱います。三角関数は、直角三角形の辺の比で扱い、角度を媒介変数にした代数関数です。しかし、この形が定着したのは、幾何学の長い歴史から見ればほんの最近、17世紀のオイラーに始まります。そして、これには直交座標系の考え方を踏まえていますので、負の数も定義に含まれています。三角測量から距離を求めるとき、三角関数の具体的な数値が必要になりますが、精度よく数値を計算することに多くの苦労がありました。あらかじめ、離散的な角度について三角関数の数表を準備しておいて、それを利用して中間の角度での値を精度よく求める技法も研究されました。今では、関数電卓で簡単に計算できますが、それが使えなかった頃は、分厚い三角関数表が必須でしたし、また、この種の数表は出版社のドル箱でもありました。コンピュータ利用の黎明期には、三角関数を自前でプログラミングしなければなりませんでした。つまり、三角関数の計算は計算幾何学の課題であったのですが、その当時は未だ計算幾何学の概念がありませんでした。
2009.4 橋梁&都市PROJECT |
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