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15. 隠れ面と隠れ線処理

15.2 多面体の隠れ線処理


15.2.1 線の集合で立体的に見えるようにする方法

 現実にある立体的な物(オブジェクト)は複雑な表面構造をしていますが、その形状を最も理想化したのが多面体モデルです。は、幾何学的な平面の性質を持たせますので、結果として、面は多角形で構成され、その境界は直線状のです。曲面を表すときは、小さな面の集合で表します。三角形の集合で曲面を近似すれば、個別の面は、正確に平面の条件を満たすことができます。しかし、四角形で分割する方が代数的な扱いに便利です。そうすると、部分的に面に捩れもでますので、個別の面が平面の性質で近似できるような小単位で分割します。多面体を投影図で表すとき、面そのものではなく、面の外形線(辺)を線図で作画するのが普通です。多角形単位で作図すると、境界となる辺は、往復二度の線を引くことになりますので、地図の境界線を描くように一回で線を描くようにも工夫します。この種の図では、面の構成で表す凹凸や傾斜を示すことができませんので、見る側の感性で元の形状を判断しなければなりません。したがって、実体と違った形状に理解されることも良く起こります。錯視は、学問的だけではなく、知的なパズルとしても興味のある課題です。しかし、実務に使う設計図やイラストは、間違って理解されるような、判じ絵や騙し絵的な作図を避けます。幾何学的に正確な投影図であっても、判じ絵的になることも起こります。工業製図の基準は、判じ絵にならないように、作図の約束を集めた性格を持っています。透視図(パース)は、立体的な形状を眼で見たような形状で描きますので、説明図などには普通に使われます。しかし、図の寸法尺度と実形が比例しませんので、正規の工業製図法としては認めていません。或る面で部分的または全部隠される辺を描かないようにする隠れ線の表現方法は、立体的な形状を分かり易くする工夫の一つです。透視図だけでなく、一般的な平行投影法でも使います。面の傾きや奥行きの違いなどは、線図だけで区別ができるように工夫しなければなりません。
2009.3 橋梁&都市PROJECT

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