目次ページ  前ページ   次ページ

15. 隠れ面と隠れ線処理

15.1 装置に依存する処理


15.1.4 オブジェクト指向の意味

 グラフィックスを扱うプログラムは、装置としてのグラフィックスデバイスと、それに描き出す画像データを扱います。これらをひっくるめた英語の用語に、物の意義を持つオブジェクト(object)を使うようになりました。コンピュータ本体は電子的な回路であって、機械装置のように動作を眼で確認する実体、つまり、物、として理解することができません。一般的な数値計算プログラムは、抽象的な材料として数を扱います。グラフィックス関係のプログラミングは、具象的な、眼に見える材料を扱いますので、これをobject oriented programmingと言うようになりました。日本語に訳すとき、orientedの部分だけを「指向」に直したカタカナ用語で「オブジェクト指向プログラミング」と使うのですが、これを聞いただけで意義を納得することはできないと思います。オブジェクトとは、日本語ならば、これ、それ、あれの代名詞で言い代えができる物を意味するありきたりの英語の用語です。オブジェクトは、英文法の用語では目的語と意訳しています。目的語は、物の他に人や動物も含め、対象物を広く捕らえます。人物・生物・鉱物・などなど。これに引きずられて、objectに目的物の訳語を当てる例も見ますが、対象物の意義で捕らえるのがよいでしょう。コンピュータの用語では、object code, object computerの用語があります。前者は、コンピュータのCPU(物)に合わせた機械語のコードを、後者は使用するコンピュータ本体(物)を指定する意味です。
2009.3 橋梁&都市PROJECT

前ページ  次ページ