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15. 隠れ面と隠れ線処理

15.1 装置に依存する処理


15.1.2 モニタも作図装置の一種であること

 コンピュータのモニタは、テレビ画像と同様に、文字や図形をその場限りで表示するだけの一過性の装置(デバイス)です。記録を用紙に残す装置が無ければ、実務の役に立ちませんので、文書にはプリンタ、図にはプロッタを使います。これらは、以前は別々の原理の装置でした。レーザープリンタインクジェットプリンタなどが利用できるようになって、区別が無くなりましたが、プロッタと言うときは、主に大版の図面を得る目的の装置を指します。モニタも、以前は文字表示用とグラフィックス表示用の区別がありました。アナログ方式のテレビ用ブラウン管を転用するのでは解像度が低いため、特別な高解像度のモニタが開発されました。一過性のモニタ上の映像を記録として残すには、バッファーのデータから、間接的にプリンタに出力させます。以前は、モニタ画面を写真に撮影する、などの手間が必要でした。コンピュータ側から見れば、入出力装置は、モニタも含め、すべて外部装置扱いですので、それを制御する専用のサブルーチンが必要です。プログラミングの方からみれば、装置を変えるたびにサブルーチンを差し替えるのでは不便ですので、或る標準化した命令セットで済ます方法を考えます。文字の場合、入力はキーボードから、出力はプリンタへ、とする入出力を標準入出力と言い、殆どのプログラミング言語では標準仕様に含ませています。グラフィックスに関しても、入出力方式を標準化する努力もされてきました。しかし、グラフィックスは、装置に依存する多くの技術課題の総合であるため、標準化が難しい問題を多く含んでいます。
2009.3 橋梁&都市PROJECT

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