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15. 隠れ面と隠れ線処理

15.1 装置に依存する処理


15.1.1 レコーダからプロッタそしてモニタまで

 そもそも、作図装置(グラフィックスデバイス)の原点は、科学技術の測定に使う(アナログ)レコーダです。純機械式のレコーダは、昔の地震計のように、電気が使えない環境で記録ができます。二次元的なグラフを描かせる機械式のレコーダは、材料試験機に見られ、材料力学でお馴染みの応力歪み曲線を描いてくれます。二次元のレコーダは、通常、電子・機械的な装置です。早い現象には2現象のブラウン管(CRT: Cathode Ray Tube)オッシログラムで観察するか、ゆっくり描かせるにはXYレコーダを使います。レコーダ類は、一般的な関数図形や、一寸したイラストを描かせる装置としては、精度も使い勝手も悪いので、コンピュータ制御(デジタル)でペンを移動させる方式のプロッタが開発されました。ペンの移動に代えて、工具を移動させる工作機械を数値制御(NC: Numerical Control)の工作機械と言い、原理的に同じ装置です。プロッタの主な目的は、大版のA0用紙を使う工業製図の図面描画にありましたので、この技術全体を自動製図、または自動作画と言いました。研究・教育利用にはA4版の用紙を使う小型のプロッタも普及しました。プロッタによる描画は、手描き作業に較べれば圧倒的に高速ですが、それでも、ペンの移動時間が掛かります。実務に利用するときは、不必要な作図を減らすため、CRT利用の高速グラフィックスモニタで完全原稿を確認しておいて、別作業(オフライン)で用紙に出力する方法が工夫されました。コンピュータグラフィックスは、この便利さを発展させて一つの技術、さらには芸術にまで育っている分野です。こちらの方に興味が偏るきらいがありますが、科学技術レポートを作成するときの技術として、もっと利用できるように知識を深める必要があります。
2009.3 橋梁&都市PROJECT

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