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13. 透視図と射影変換

13.2 平面図形の射影変換


13.2.8 現実的な変換の対応を考える

 カメラを使って被写体を撮影するとき、被写体がカメラの視野に適度に収まるようにカメラ位置を設定します。フイルム上の画像は、視野の範囲(視角)が重要なパラメータですので、レンズの性質と関連させ、通称で、標準・望遠・広角と使い分けます。標準レンズ付きカメラは、視角が約60度です。望遠レンズは視角が小さくなりますので、相対的に被写体から離れてカメラを構えます。そうすると、投影される平面図形は斜投影法、代数的にはアフィン変換に近づきます。射影変換は、広角レンズのカメラを使って被写体に接近して撮影するときに特徴が表れます。フイルムの像は引き伸ばして利用しますので、使用レンズの焦点距離と関連するフイルムの寸法は、重要なパラメータではありません。携帯電話機に付属しているカメラのレンズは非常に小さく製作されていて、映像が写るCCD素子の寸法も非常に小さいのですが、モニタで再現して拡大して見るときは、実用上十分の鑑賞に耐えます。したがって、代数的に投影変換を扱うときは、単位の焦点距離を持った擬似的なカメラを考えます。しかし、幾何学的に図形の変換を扱うときは、変換図形の全体寸法がほぼ1:1の大きさで対応させるように式を整理することを提案します。これは、図13.5の投影面の位置fを、元の図形を回転させる前と同じ位置f=dに置きます。式13.1のパラメータ(a,b,c)は、無次元化した単位ベクトルです。視点と用紙との距離|d|は、変換したい図形の寸法を考えて決めます。図形の外形寸法が、半径rの円に収まる大きさと仮定すると、|d|=2rを目安にして決めます。これは、視角にして約90度の広角レンズを持ったカメラで、フイルム寸法にほぼ眼一杯に像を撮影する環境が得られます。
2009.1 橋梁&都市PROJECT

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