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11. 二平面の交差計算と応用

11.1 立体幾何学の感覚的な理解


11.1.1 平面を感覚的に理解する

 平面幾何学で扱う平面図形の性質は、紙などに図を描いて説明し、それを見て具体的に理解することができます。しかし、立体図形は、単純な、立方体であっても、平面的な見取り図を介して説明しなければなりません。それを見て理解するときも、立体的な形状を感覚的に補うことをしなければなりません。幾何学で扱う平面は、平面状に無限に広がった場所を表す抽象的概念です。その存在は、禅問答のように、感覚的に理解するしか方法がありません。「平面や直線は、無限に多くの点の繋がり(集合)である」と「信じるか・信じないか」「そう思うか・思わないか」をまじめに扱う学問的方法は、一種の精神論ですし、しばしば宗教的な衣を着ます。これに形而上学(metaphysicsの訳語)を当たることがありますので、ますます現実離れします。しかし、平面の性質を持つ実体は、身の回りに在る床・壁・机の面・箱状の物の外面など、ごく普通に眼にします。こちらは、形而下学の課題とします。この面は、或る限られた寸法を持ち、現実空間(世界座標)の中で、位置と裏表の向きとを持つとして扱います。この面の図形的な性質を表す計算幾何学的な方法の中に、抽象的な形而上学的な平面の性質を含ませて理解します。すこし紛らわしいのですが、この章での説明は、用語として「平面」と「」とを区別しています。平面と言うときは、学問的・幾何学的な意味です。面は、実体を考えることができる、平面の性質を持つ立体図形とします。無限に多くの実体を持つ点の集合であると理解しても、一向に差し支えはありません。実体を考える面は、色を付けたり、投影変換をして紙などに描いて理解することができます。しかし、幾何学的平面は描きようがありません。
2008.11 橋梁&都市PROJECT

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