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9. 図形の変換の数学

9.4 変形の合成


9.4.4 固有値解析との関係

 対称なマトリックスの固有値と固有ベクトルを求める問題は、式9.5の逆問題です。与えられた対称マトリックスから、λ1、λ2、λ3e1e2e3を求めることです。マトリックスを扱う線形代数の課題は、対称なマトリックスの固有値と固有ベクトルを求める解析が取り上げられます。巨大な次数のマトリックスを精度よく、また高速で解くプログラミングの課題として研究されています。ただし、固有値解析の結果を判断して利用するときは、対象としている専門と関係します。弾性体の解析では、主応力の大きさと、その向きを問題にします。主応力の大きさに差があると、これが主応力方向と45度の角度を持つ面の最大剪断応力の大きさと関係を持ち、剪断すべりによる破壊の説明に使われます。図形の場合には、座標軸回りの慣性モーメントが対称マトリックスの形に整理して得られますので、その解析をして、主軸方向を求める計算が設計計算に必要です。
2008.9 橋梁&都市PROJECT

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