弾性体の変形は、長い棒状のものを引っ張って伸ばすか、柱のように圧縮させて縮ませることを想定して、この変形を最初に扱います。式9.2の形で扱うと、3×3マトリックスの成分は、下のような特徴のある式で表されます。
ここに(e1、e2、e3)は単位ベクトルになるように成分の大きさを決め、空間的に考えた、伸びまたは縮み方向を示すとします。ただし、このベクトルの正負の向きについては、どちら向きでも構いません。それは、式9.4の右辺の成分の符号で見ると、対角線要素が常に正の値になるからです。λは長さ変化を与える倍率です。符号にマイナスが付く場合は、全体材料を原点に対して180度反対方向に位置を変えて伸縮させます(表9.2のコマンドPGLONG)。右辺の3×3マトリックスは、個別のベクトル成分を縦横に掛けて求めたものであって、名称としては二項積(dyad)と言います。記号は、二つのベクトルを並べて書き、間に演算記号を使いません。例えば二つのベクトルをu、vの記号で表すとき、uvとします。演算記号を挟みません。二項積と言う数学量は、代数学的なマトリックスとしては不完全な構造をしていますので、線形代数の参考書で紹介されることは殆どありません。
2008.9 橋梁&都市PROJECT |