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9. 図形の変換の数学

9.3 回転の分類


9.3.6 非対称のマトリックス成分になること

 回転だけを行わせる変換マトリックスは、対角線要素の並びを対象軸とすると、左右の対応する数値が同じになりません。後で説明する変形のマトリックスは対称です。任意の非対称マトリックスを扱うときは、これを回転だけの成分と変形だけの成分に分ける必要があります。非対称マトリックスは、変換手順としては二種類の手順があります。変形についてはこの後の節で説明しますが、ここでは原理についての解説です。
(1)  空間的に直交する3方向に伸びまたは縮みの変形操作をしてから、回転させる。
(2)  剛体として回転させておいて、空間的に直交する3方向に伸びまたは縮みの変形操作を加える。
この変換の合成は、それぞれの変換操作を表す3×3マトリックスの積の演算で得られますが、積の順番を変えると別の結果になります。数学の問題では、逆変換のことも考えます。それは、与えられた3×3マトリックスから、回転と変形個別の変換マトリックスを求める問題です。これは線形代数の応用で解くのですが、変形と回転を処理させる個別のマトリックスの成分は、(1)と(2)とでは同じにはなりません。ここでは、これ以上の説明は、この章の主題からは外れますので説明を省きます。

2008.9 橋梁&都市PROJECT

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