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9. 図形の変換の数学

9.1 変換処理の分類


9.1.3 線形と一次とを区別する

 上の分類で、番号7〜9は、次元数が増える方向の変換ですが、これが、幾何モデリングに当たります。番号3、6は、便宜的に変換の一種に分類しましたが、図形を実務的に利用するときの計算に表れる処理です。この章で扱う説明は、2,4,5です。5は、次元数の下がる変換です。数学的に言うと、次元数が下がる変換は、一部の情報が失われますので、逆向きの変換で元に戻すことができません。同次元同士の変換2、4では、元に戻す変換(逆変換)が保証できるように式を扱います。それを保証する一つの約束が線形(linear)の性質です。数学的な道具としてマトリックスを使う場面が多くなります。マトリックスを一単位の数学量として扱うとき、算法の約束を厳格に決めます。これを扱う数学を線形代数と言う分類に入れます。線形の用語は、一次とほぼ同義に使いますが、線形と言うときは、厳格な約束があって、0の定義、単位1の定義、そしてスカラー倍と加法の算法が保証されるときです。例えば、「y=ax+b」は、一次式とは言いますが、線形式ではありません。それは定数項bがあるからです。0の定義はx=0のとき、y=0になる条件を指します。数学量としてのマトリックスも0マトリックス単位マトリックスの定義があります。
2008.9 橋梁&都市PROJECT

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