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8. 二直線の交点計算と応用

8.4 ハッチングの作図技法


8.4.2 ハッチングを作図するアルゴリズム

 次ページの図8.3には、領域の違いをハッチングの作図技法で区別してあります。ハッチングに使う材料は、与えられた領域を、すだれのように覆う何本もの線分の集合で考えます。個別の線分について、領域を構成するすべての辺との交点を求めます。この交点を、座標値の昇順または降順に並べ直した上で、奇数位置と偶数位置の交点の対を結びます。この準備段階として、与えられた領域を囲う矩形の寸法を計算します。作業にはこの矩形寸法を僅かに大きくしておいて、矩形の周上に2点P,Qを決めます。線分PQが領域を横切るハッチング用の材料線分です。原理としてはこれだけですが、実際にプログラミングをしてハッチングを描かせると、線分PQが多角形領域の頂点を通るときに、交点番号の奇数・偶数の順番が狂います。この場合の判定を、計算幾何学的に正直に取り組むと、かなり面倒な判定が必要になります。そこで、もし線分が交点を通る場合には、線分PQの位置をしきい値分だけ平行移動させて、線分が頂点を通らないようにします。作図線は、見た目で大きくずれることはありません。このような処理が実践的な作図のノウハウです。
2008.8 橋梁&都市PROJECT

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