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8. 二直線の交点計算と応用

8.1 最も基礎的な算法


8.1.4 線分に向きを考える

 幾何学的要素としての直線は、向きの約束を持ちません。座標系を考えて、直線の式を、例えば「y=ax+b」と表記した場合でも、普通は向きの約束がありません。中学校の数学では、不等式「y>ax+b」の説明が出てきますが、幾何学的な意味付けをあまり考えていません。この不等式は、漠然と直線の上下を区別しています。線分は、始点と終点で定義すると、自動的にベクトルとしての向きの約束を持ち、その向きに立って、線分の左右(上下ではありません)を決めることができます。向きは、トポロジー的な属性です。二線分は、必ずしもX形で交差するとは限りません。カタカナのレ形、ト形で接触することもあります。一直線で重なる場合と離れている場合もあります。互いに離れている線分の延長で交差する交点が必要になることもあります。平面図形の処理では、あらゆる場面を想定して、二線分の交差の状態を分類しておく必要があります。計算幾何学では、平面図形の干渉処理をする場合と、透視図で隠れ線処理をするとき、二線分の交差状態の判定を応用します。第6章の図6.1にある製図モデルの見取り図を見て下さい。図6.2の方は、隠れ線処理をしていない図ですので、本来は見えなくなる線が実線として残って描かれています。隠れ線処理では線分の交差を求めて線分を分割するだけでなく、分割する辺・分割される辺、の向きと奥行き情報とを判断して、見える・見えないの判断をします。次ページの表8.1:次々ページの表8.2は、その判断の基礎になる二線分の交差モードの分類を示したものです。
2008.8 橋梁&都市PROJECT

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