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7. コンピュータグラフィックスの基礎

7.5 しきい値と言う概念


7.5.8 誤差は相対的な値であること

 学問は真理の追究であると言われます。数値の誤差や精度と言うとき、正確な数があって、そこからのずれの意義で言います。正確な数が分からないとき、多分この辺に正確な値があるだろう、検討を付けて言いますので、相対的に誤差や精度を理解します。幾何学に関連する問題を代数的に扱うとき、正確さをどのように判定するかが常に付きまといます。例えば、「三角形の重心位置は、頂点とその対辺の中央を結ぶ三線分の交点である」とする定理があります。では、この定理に沿うように、三線分を代数的な直線式で表し、この二直線を選んで交点座標を計算すると、交点座標が三組み求まります。これが全く同じ値で計算されることは、非常に条件の良い場合であって、一般には計算誤差を含んだ別々の解が得られます。どの位取りまで数値が一致するかが、計算精度であって、その位取りから下が誤差分です。実際問題として重心位置を計算するときは、交点座標を三組み重複して計算することをしないで、コンピュータで計算した桁数の多い数値から、実用的な位取りのところで数値を丸めます。このときに、その分野での習慣や経験が応用され、その知識で数値を判断します。
2008.7 橋梁&都市PROJECT

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