目次ページ  前ページ  次ページ

7. コンピュータグラフィックスの基礎

7.5 しきい値と言う概念


7.5.7 単位系を変えるときに呼び数を使う

 丸めの方法には種々の約束を使います。常識的には四捨五入です。JISで規定する丸めは、四捨五入の規則の拡張定義になっていて、最後の桁が5である数の場合には、その前の数が偶数になるように五捨五入をするように決めてあります。同じ量であっても、単位系の異なる数値に変換の計算をするときも、扱い易い数に丸めます。日本では尺貫法からキログラムメートル法に変えるときに一悶着がありました。最近ではSI単位系への移行が物議をかもしています。理論的には正しい選択であっても、変更による混乱を避けるために、呼び数で妥協を図ることが普通に行われています。例えば、テレビやコンピュータのモニタ画面の寸法は、対角線の長さをインチで呼ぶ習慣になっていますが、cm単位に換算しないで、インチ寸法を呼び数として使っています。16型などと言うときの16がそうです。ネジやボルトなどは、寸法系列にインチ単位と、cm単位とがあります。インチ系列をcm単位に直した呼び数で言うと、実際寸法とは少し狂います。そのため、同じ呼び数のネジであっても合わない悲劇が起こります。コンピュータ関連の技術はアメリカ主導型で開発・発展してきましたので、インチベースでの言い方を無理にcm単位に直すと、数値の整合性が取れなくなることがあります。インチを使わない妥協の方法が呼び数の利用です。
2008.7 橋梁&都市PROJECT

前ページ  次ページ