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7. コンピュータグラフィックスの基礎

7.2 座標系とカメラの概念


7.2.7 単純に画像を表示するとき

 上で説明した一般的な作図手順は面倒ですので、考え方を単純にするため、擬似カメラのフイルム横・縦寸法比をデフォルトで4:3で考えます。ビューポートは装置全体画面を使うとし、フイルムの中心とビューポートの中心を合わせ、フイルム寸法の縦横どちらかがビューポートに最大に接するように割り付けることにします。擬似カメラが見る世界は、世界座標を部分的に切り取る範囲ですので、それを定義する方法が必要です。二次元の画像の場合には、視野に入る世界座標の範囲を指定します。その方法は世界座標の中で矩形枠の寸法を定義することです。これをウインドウの定義と言います。ここで言うウインドウは、コンピュータ用語の通称で使うウインドウとは違う意義ですので、初心者が混乱する原因ともなっています。これを避けるため、コンピュータ関係の用語ではウインドウに代えてフォーム(form)を使っています。そしてフォーム単位がグラフィックスのビューポート単位に当たります。GEOMAPで採用しているウインドウの定義方法は、二次元世界座標に矩形枠を考え、その中心座標(WX,WY)と、横幅寸法WHです。これはフイルム上の座標系に世界座標系を割り付けることに当たり、結果的にはビューポート座標系に世界座標系を割り付ける座標変換を行わせます。これをウインドウ・ビューポート変換と言います。三次元の世界を中心投影の擬似カメラが切り取る範囲は、視点を頂点とする半無限の四角錐です。この範囲を指定するのがカメラの位置と向きの定義です。カメラを構え、或る対象物に視野中心を合わせます。視野の横幅は視角で決めます。カメラでは通称で「広角・標準・望遠」で言い換えます。数値的な表現は、焦点距離1のレンズを持った擬似カメラを考え、フイルム横幅寸法をTHで与えます。視角が90度の広角ではTH=2、60度は約0.87であって人の眼の視角とほぼ等しい視野になりますので、標準レンズを持つカメラではこの前後の視角を持たせています。
2008.7 橋梁&都市PROJECT

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