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7. コンピュータグラフィックスの基礎

7.2 座標系とカメラの概念


7.2.6 引き伸ばしとプリントのモデル化を考える

 カメラで撮影することは画像をフイルムに取り込みことに当たり、いわば、ネガを作ることです。フイルムの寸法、つまりカメラの寸法は種々あります。画像を見るときは、ネガを或る寸法に引き伸ばして用紙に焼き付けます。コンピュータグラフィックスでは、用紙に代えてモニタの画面に表示します。モニタの寸法も種々ありますので、引き伸ばしに使うネガの有効画面の絶対的な寸法よりも、横・縦の寸法比(aspect ratio)の方を主要なパラメータにします。35mmカメラでは、ネガの横・縦の寸法比が35:24です。これを焼き付けるとき、用紙の寸法に合わせ、適当な余白を取り、ネガ全画面を使わないトリミングも行います。コンピュータのモニタ画面は、普通テレビの画面寸法比を準用しますので、横・縦の比が4:3ですが、ハイビジョン系ではこれが16:9の横長になりました。写真用紙の寸法では、四六版の言い方があります。JIS規格の用紙では、横縦の比が√2:1です。ネガの寸法比と表示側寸法比が違うと、ネガ全画面を表示するとき、横・縦どちらかに余白が出ます。また、一つの用紙上に複数の写真を貼り付けることもあります。そこで、コンピュータグラフィックスでは、表示に使う装置(デバイス)の方の寸法を考え、この画面に平面座標系のE装置座標系を決めておきます。画像を表示する部分的な矩形枠をビューポート(viewport)と言い、そこにネガを焼き付けるとします。コンピュータのモニタ画面では、複数の表示枠単位を通称でウインドウと言うのですが、これがコンピュータグラフィックスのビューポートに当たります。装置全体画面の枠内に、独立したFビューポート座標系を割り付け、その座標で画像を表示させます。このようにしておくと、ビューポートの位置を装置座標系の中で移動させても、作図命令の座標系まで変更しなくて済みます。しかし、ビューポートの横・縦の寸法比もネガの寸法比と必ずしも同じではありませんので、余白の出具合も変わります。座標系を理解することとは、上に説明した@〜Fまでの区別と、それら相互関係を理解することです。
2008.7 橋梁&都市PROJECT

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