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7. コンピュータグラフィックスの基礎

7.1 投影法の原理


7.1.2 投影面は座標系を使わない

図7.1 第一角法の投影原理の説明に使うときの対象物の位置

 定木とコンパスだけを使うだけの作図の公準は、座標の考え方も、また寸法単位の約束も使いません。何かの長さを基準として、相対的な比で長さの比較をしますが、寸法数値を使いません。幾何学原理的に正しい図形を作図して利用することの代表は、工業製図です。実務に使う図を作成する工業製図は、立体的な対象物の投影図を描くとき、図学的に言う二つの投影面を組みで使います。この投影面は、座標を定義する面ではありません。直角に交わる二つの投影面(水平面と垂直面)で、空間を4つに分割し、この部分空間を象限(quadrant)と呼びます。これに第一象限から第四象限(または第一角から第四角)の名称を付けます。対象物をどの象限かに置いて、垂直・水平の投影面に平行投影法で投影して描きます。投射・射影・投象などの用語も使われます。正面図・平面図の言い方は、対象物と投影面の位置関係を区別しています。第一角に対象物を置く場合と第三角に置く場合の区別が、第一角法・第三角法の用語です。垂直・水平の投影面に用紙を考え、交差する線が折れ線なった用紙を平らに伸ばすと、正面図と平面図の位置関係が上下に並んだ一対の図になります。第一角法と第三角法とでは、その上下関係が逆配置になります(前第6章の図6.1参照)。
2008.7 橋梁&都市PROJECT

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