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6. 幾何モデリングの序章

6.4 幾何モデルの応用


6.4.2 三角形に分割する考え方に自由度があること

 任意形状の平面図形の面積を計算するとき、これを幾つかの三角形の集合に分けて個別の三角形の面積を加算します。手計算の場合には、底辺×高さ÷2の公式を使うため、個別にこれらの寸法を求めなければなりません。三辺の向きが任意の向きであると、これらの寸法を求めることが厄介ですので、底辺が水平になるように、座標軸に平行になるように辺の向きを揃え、三角形と矩形との組み合わせを考えます。この処理のとき、図形を扱うために単純化した直交座標系を考えています。しかし、平面図形の頂点座標値をデータとして積極的に利用するときは、座標幾何学の考え方を採り、さらにコンピュータを利用することが計算幾何学に進むことです。三角形の面積は、一つの頂点を挟む二辺をベクトルとし、ベクトル積(外積)を応用します。任意の基準点を一つの頂点とし、平面図形の辺を対辺とする三角形を考えます。平面図形の面積は、辺をたどって平面図形を一周する順で、外積計算の和に代えることができます。この方法は平面図形が三次元的な位置関係にあっても応用できます。全体の重心位置の計算は、個別の分割三角形の重心位置と面積とから一次モーメント(static moment)の全周積分を応用します。全体図形の慣性モーメント(二次モーメント)は、個別の分割三角形の慣性モーメント・重心位置・断面積から計算する手順でプログラミングを考えます。二次モーメントは、座標軸が二方向ありますので、2×2通りの二次モーメントの数値が必要ですが、これを二次元の対称行列の形で扱います。三角形の二次モーメントは、三頂点の位置ベクトルを使ったベクトルの二項積(dyad)の一次形式で表すことができます。また、この対称行列の固有値と固有ベクトルを計算すると、この三角形の主軸回りの二次モーメントと主軸方向の方向ベクトルが得られます。この計算式の詳細は、下の文献に紹介してあります。(*1:島田静雄、CAD.CGのための基礎数学、共立出版、2000、p208参照)。
2008.6 橋梁&都市PROJECT

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