目次ページ  前ページ  次ページ

6. 幾何モデリングの序章

6.4 幾何モデルの応用


6.4.1 平面図形の面積・重心・慣性モーメント

 構造物の設計では、部材の重量を積算するために、断面の平面図形の諸量として、面積や重心位置の計算をします。力学計算の場合には、慣性モーメント、さらには主軸方向の計算が必要ですし、これらの数値から派生的に定義される慣性二次半径、断面係数なども求めます。材料として提供される形鋼では、これらの数値をデザインデータとして利用できるようにカタログ化されています。部材を組み合わせて、より複雑な断面に構成した桁や柱について、平面図形諸量の計算には定型的な方法があって、実務者向けの参考書では具体的な数値計算例を見ることができます。しかし、理論の方に偏った構造力学の参考書に載ることは殆どありませんので、工科系の大学生が社会に出たときには、就職先で実務計算を覚えるのが現実です。これらの平面図形の計算では、幾何モデルの考え方を意識していません。コンピュータが利用できなかった時代は手計算でしたので、その作業に手間のかかる断面図形の提案を避ける傾向がありました。コンピュータが使えるようになりましたので、手計算の面倒さは軽減されましたが、手計算の計算手順そのままをプログラミングすることが多いようです。平面図形を表すときに幾何モデルの考え方を応用すれば、計算手順を別に組み立てる方が扱い易くなります。
2008.6 橋梁&都市PROJECT

前ページ  次ページ