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6. 幾何モデリングの序章

6.2 立体を表す幾何モデル


6.2.1 現実の形状はすべて立体的であること

 現実世界に在る物は、たとえ紙のように薄くても立体的な構造がありますので、何枚かを重ねると厚みを持ちます。したがって、実体の幾何モデルは、最初から立体的な構造を提案しなければなりません。現実的な方法の一つは、平面図形に高さを持たせた板または柱です。物を作るときの材料は、板材や柱材などで供給されます。最も基礎的な構成は、幾何学的に言えば直方体です。やや特殊な材料は、種々の断面形状を持った細長い柱材です。これらを加工して部品を作り、それを組み立てて目的の構造に構成します。彫刻などは手作業ですので、自由な形状に彫りだすこともします。しかし、機械加工では工具の移動制御を幾何学的に行いますので、それに添うような幾何学的な形状、つまり幾何モデルで形と寸法を提案します。立体的な形状を言葉だけで説明できるのは、初等幾何学的には単純な円柱や角錐程度までですので、図面を使い、言葉での説明も補います。どのような機械加工をするかの説明をひとまず置いて、立体的な形状の特徴をコンピュータに知らせる方法を考えることにします。結論から言うと、多面体モデル(polyhedron)を使います。外形だけに注目すれば、中身が詰まっているか、張りぼて構造かを問題にしませんが、幾何モデルではそれを明確に区別しなければなりません。中身が詰まっていることを明示的に言うときは、充実体(ソリッドモデル:solid model)と使います。板を組み合わせて容器を構成するときは、近似的に中空体(surface model)(張りぼて)扱いもします。しかし、工学的に実体形状を考えるときの多面体モデルは、張りぼて構造を考えません。ただし、幾何学的な議論の過程では、張りぼて構造も扱います。
2008.6 橋梁&都市PROJECT

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