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6. 幾何モデリングの序章

6.1 平面形状を扱うモデル


6.1.3 幾何学的要素・図形要素・幾何モデルを区別する

 幾何学で三角形と言うとき、その構成は三頂点と三辺です。頂点も辺も、幾何学的には位置を表す抽象的な幾何学的要素です。説明のために図を描いて説明するとき、頂点・辺の用語を使いますが、形を持った実体を意味しません。図に描くとき、形を表す線は「太さ・実線破線などの区別・色」などを使い分けますし、点も丸や三角などの記号で描きわけます。これらを図形要素または作図要素とします。しかし、具体的な三角形状の切り紙を考えると、内側が詰まった連続構造ですし、楽器のトライアングルは外周だけです。これらの実体図形の形状を表すことが平面図形の幾何モデルです。そして、このデータ構造を提案しなければなりません。結論から言うと、このモデル構造に「針金モデル切り紙モデル地図モデル」の名称を使うことにします。針金モデルは、蜘蛛の巣やトラスのような網目構造です。地図モデルは、多角形状の切り紙単位をモザイク状に繋ぎますので、境界線があります。日本の分県地図を考えるとよいでしょう。北海道・本州・四国・九州は、独立した島単位であって全体は一つの切り紙ですが、その内側が幾つかの県(領域)に分割されています。滋賀県の琵琶湖はが空いていると考えます。切り紙モデルと地図モデルは、針金モデルで個別に閉じた枠を構成しておいて、その内側に紙を貼ると考えます。このとき、「枠の内側も在るよ」とする情報を追加します。穴はその内側が無い場合です。幾何モデルを考えておいて、「針金モデル、切り紙モデル、地図モデル」を区別して図に描く技法が必要です。単純に形状を説明するときは、例えば「一辺の長さが5cmの正三角形・三辺の長さが3m,4m,5mの三角形」などと言います。しかし、三角形の切り紙モデルか、針金モデルか、の区別は別に言いますし、穴なのか実体なのかにも頓着しません。コンピュータにデータを渡すとき、どのように言葉の組み立てを考える工夫が必要です。グラフィックス言語や作図コマンドとは、このような言葉の体系を指します。しかし、幾何モデルの考え方は使いません。 
2008.6 橋梁&都市PROJECT

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