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6. 幾何モデリングの序章

6.1 平面形状を扱うモデル


6.1.2 平面図形の特徴を表す数値の計算

 平面図形の形状が複雑であっても、この全体を理解する数値として面積や重心位置がよく使われます。面積計算は、比較的身近な問題です。初等幾何学の範囲では、三角形と矩形の面積計算方法は基礎的な知識です。少し複雑な平面図形の面積は、幾つかの三角形と矩形に分割しておいて加算します。円の面積計算となると、代数学寄りの問題です。全体図形の重心や、二次モーメント(慣性モーメント)の計算は、幾何学の主題ではなく、力学と関連する問題の中で扱われますので、中学・高校までの課程で教わることはありません。しかも、大学の理工系教育の中でも、システム化された実学的なカリキュラムとして組み込まれることはありませんでした。面積や重心の計算方法を表す代数式は単純ですので、どのように数値計算を組み立てるかの実践的な技法は、専門ごとに学習しています。この計算をコンピュータで行わせようとなると、計算式と計算手順とを合理的に組み立てるプログラミングを工夫しなければなりません。このときに幾何モデルの考え方を必要とし、平面図形のデータ構造をどのように構成するかの定義と、データをどのように準備するかの二つを決めます。 
2008.6 橋梁&都市PROJECT

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