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6. 幾何モデリングの序章

6.1 平面形状を扱うモデル


6.1.1 設計は幾何モデルを考えることから始める

 何かの実体を持つ工業製品の設計は、機能に要求される条件を満たす設計と平行して、形状と寸法を図面に作成します。これは、実物があってそれを写した図ではなく、これから作る形状の特徴を表現するものですので、図が表しているのは形状モデル、または幾何モデルであると解釈します。モデルと同義の漢語は模型です。しかし、模型と言うと、具体的な形状を持った物の意味で理解しますので、その物の特徴を抽象化して表すときは、英語のmodelをカタカナ語として使います。例えば、或る現象を表す数学モデルの様な言い方がそうです。橋梁構造物の設計では、通行する重量の大きな車両に耐える機能が必要ですので、構造解析に使う力学モデルも考えます。力学モデルは、構造物の力学的挙動を扱うことを目的にした抽象化モデルです。扱い易いモデルは、部材の断面寸法を捨象した骨組み構造とします。トラス構造が一つの例です。トラスの弦材を力学要素として扱うときは、部材断面の重心軸線で置き換えた形状モデルを考えます。この要素の属性として断面積、断面二次モーメントなどを求めます。これらの計算が計算幾何学と関連を持ちます。モデルを作成するコンピュータプログラムは、1978年に穂坂・木村が発表したGEOMAPの名称のサブルーチンパッケージを改良して使っています。 
2008.6 橋梁&都市PROJECT

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