目次ページ  前ページ  次ページ

5. 土木工学と曲線

5.3 緩和曲線


5.3.3 勾配の摺り合わせは放物線が使われる

 勾配は、水平長さXと高さYとの比Y/X、つまり正接(tangent)で言います。数量的な表し方は、例えば、1:5、20%、日本風に言うときは2割、のように言います。コロン「:」の記号は、欧米では割り算の意義で使う習慣が多いのですが、割り算記号÷の横棒を省いた表現と考えるとよいでしょう。欧米では、1/5の表記法を割り算の意義に使う習慣は、一般的ではありません。壁のような垂直に近い急な勾配を表すときには20:1のように書きますので、慣れないと面食らいます。段差がある個所を摺り合わせるときは、ある区間を設けて、直線で結ぶのですが、勾配の急変を避けて放物線の緩和曲線を入れます。放物線は、勾配が直線的に変化する曲線だからです。段差の個所は二つ放物線を逆向きに、Sの字を横長に伸ばした形状で繋ぎます。そうすると、この放物線の部分的な最大勾配は、元の直線勾配の2倍です。橋梁の縦断形状、また、道路幅員方向の横断形状は、路面排水の目的もあって、中央を端部より高くします。縦断勾配、横断勾配と言うときの数値は、中央部までを直線で結ぶときの実質的な直線勾配を指します。そうすると、中央部で屋根型の線形で接し、勾配が急変します。そのため、この全体を一つの凸の放物線で結びます。これが放物線勾配です。そうすると、端部での曲線の接線勾配は2倍です。
2008.5 橋梁&都市PROJECT

前ページ  次ページ