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5. 土木工学と曲線

5.2 二次曲線と三次曲線


5.2.4 別の媒介変数を使う

 曲線を描きたい場合、普通に考えると、上で示した一般式から、xまたはyのどちらかを媒介変数にした式を提案します。放物線を「y=ax2+bx+c」の形で扱うのがそうです。この式は、任意のx座標値を与えれば、y座標が一意に決まります。しかし、逆に、y座標値を与えてx座標を求める場合に応用するときは、yの座標値の取り得る範囲に制限がありますし、xの解も二つありますので、どちらを使うかの判断が必要です。この面倒さを避ける方法として、別の媒介変数(パラメータ)tを考えて、x座標とy座標とを分離して、下に示すように、一意に座標がきまる方法を工夫します。
     
 例えば、惑星の軌道は、太陽を一つの焦点とする楕円(これが一つの条件)です。太陽系を回る惑星や彗星の軌道は、時間tを媒介変数にします。軌道を決定する条件は、力学原理を元に、或る時点での位置、運動方向、速度です。軌道を図形的に決定する方法は、或る瞬間の位置を仮の起点として、少し移動して向きを変える操作の繰り返しです。数学原理は積分ですが、くだけて言えば尺取虫的に次の点を求めることです。一般的に曲線を考えるときは、曲線に沿って測る長さを媒介変数tにします。世界座標系は便宜的に後から決めることができて、当面の局所座標系は曲線の接線方向とそれに直交する法線方向に取ります。世界座標の中では、曲線上の或る座標を位置ベクトルと考え、形状を決める条件に「向き」、つまり曲線の接線ベクトルを使います。曲線に沿って移動することを考え、どちらにどの程度で曲がるかを、曲率(半径の逆数)を符号付の数で与えます。向きが変わるのは、法線ベクトルの方向であって、接線の正の向きに対して左右を区別するときに使います。これは位相幾何学的な性質です。
2008.5 橋梁&都市PROJECT

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