目次ページ  前ページ  次ページ

5. 土木工学と曲線

5.2 二次曲線と三次曲線


5.2.5 三角関数を使わなくても円が描けること

 円や楕円は全体の閉じた曲線図形を描くこともできます。しかし、放物線や双曲線は無限遠まで伸びる曲線ですので、作図的には部分を描きます。そうであると、作図条件に、曲線の始点と終点の座標と、もう一つの参考点の座標をデータとして準備して描く方法を提案するのが便利です。次ページの表5.1と次々ページの表5.2は、中間の参考点を通るように描く場合と、参考点を三角形の頂点として、頂点角を丸める作図方法を示しました。楕円・放物線・双曲線の線種の違いは、定数aの違いです。曲線に沿って測る擬似的な長さのパラメータtを(0,1)間で変えていけば、曲線の座標が得られます。ただし、実際の曲線長と比例する性質はありません。円や楕円を描くときでも、三角関数を使わない代数式表現であることに注目して下さい。もう一つ重要な性質があります。円と放物線は、3点を与えれば一意に曲線形が決まるのですが、楕円と双曲線はパラメータaを変えると無数の曲線が描けることです。アーチ橋や建築のボールトの曲線形状については多くの感覚的なデザインが提案されています。曲線の計算幾何学的知見を応用することは、従来はありませんでした。
2008.5 橋梁&都市PROJECT

前ページ  次ページ