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5. 土木工学と曲線

5.1 地球の上の作図


5.1.3 鉄道や高速道路は大きな曲線を使う

 正確な位置を決める実践的な方法は、或る見通し線上で、一つの点からの距離で区切る方法です。次善の方法は、見通し線上の区切り点を決め、そこから直角に或る距離だけずらした位置を狙って見通し線を切り替えます。この方法は、見通し線を局所座標のx座標とすることになっていて、ずらす距離がy座標の指定です。x座標軸から直角方向に大きく位置をずらすのでは正確性に劣ります。精度が落ちないようにするには、あまりずらす距離が大きくならないようにします。見通し線を、指定した角度で振るのは、実用的には精度がかなり落ちます。この位置決定法を、曲線を作図する方法に応用します。鉄道や高速自動車専用道路の線形は、真っ直ぐな直線で計画するのが理想です。しかし、種々の条件から、緩やかな円や曲線を挟みます。その円の半径は、数百メートル以上にもなりますので、巻尺をコンパスとして使う方法は実用になりません。また、普通の道路で巻尺が使える程度の小さい半径の円曲線であっても、円の中心に立てないことの方が多いものです。したがって、曲線の作図は、一定距離を直線で進めながら向きを変え、多角形の点の集合で円や曲線の上の位置を複数個所決め、それを滑らかに結びます。この実践的な測量技法が曲線設置法です。曲線の数学座標を元に曲線の位置を決める方法は実用になりません。曲線を折れ線の集合に直して、尺取虫がたどるように、或る点から次の点の位置を順に決めます。したがって、元の曲線の数学的は表現方法を、この作業に向くように変換します。
2008.5 橋梁&都市PROJECT

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