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5. 土木工学と曲線

5.1 地球の上の作図


5.1.2 座標値を求めることは難しい

 運動場程度の広さの場所で、或る位置を正確に知るには、何かの座標系を決めておき、その座標値を使います。その最初は、二つの基準点を決め、それを結ぶ線を基線とします。この2点は、最初から正確に南北線に一致するように決めることはできませんので、正確に南北を向く向きを狙う三番目の参考点を別に決めます。最初の基準点と基線とは仮の局所座標系と考えて、より広い視野で決めた座標系(世界座標系)を元に、南北線を合わせた使い易い局所座標系を提案します。この作業は、測量の基準三角点を元に三角測量で測定します。座標変換が入りますので、一般の人は数値計算にてこずるでしょう。二つの基準点から、任意の三番目の点までの距離は、巻尺で測ることができます。数学に自信の或る人は次の問題に挑戦してみて下さい「基線を構成する二点の座標値が分かっているとして、三辺の長さをデータとして、三番目の点の座標値を求めよ」。この数値計算は、思った以上に手ごわい問題です。逆問題として、与えられた座標値の位置を正確にマークする作業は、もっと大変です。紙の上で描いたデザイン画を正確に拡大して地上絵に作図する作業は、紙の上での座標値を求めておいて、それを元に地表上の座標に落とします。地表面には座標系に相当する方眼が描いてありませんので、理工系の大学生でも位置決めにてこずると思います。
2008.5 橋梁&都市PROJECT

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