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3. 図形要素間の演算

3.5 積の約束


3.5.1 掛け算と乗算と積はどう違うか

 和語で算術の「足し算・引き算・掛け算・割り算」と言うことを、漢語で表す数学用語では「加算・減算・乗算・除算」と使います。算術の掛け算記号は×を使いますが、英字のキーボートには無い活字ですので、コンピュータのプログラミング言語では * で代用します。冪乗(べき乗)と書く難しい用語があって、同じ数を何回も乗じるときに使います。この演算を表す表記法は、数学書では上付き文字を使って、aのb乗を abと書きます。普通のテキストエディタでは上付き文字が扱えませんので、これも別の表記法を約束します。殆どのプログラミング言語は、べき乗記号にアクセント記号 ^ を使い、a^bと書きます。FORTRANでは a**b としていましたが、^記号が昔のキーボードには無かったからです。「積」は、和語にはない概念であって、掛け算操作そのものと同時に、得られる結果の意味も持ちます。英語はproduct(プロダクト)です。面積や体積の用語が代表的な使い方です。ベクトルと定数との乗算は、上の段落で説明した定数倍、またはスカラー倍と言い、演算記号は * を当てます。ベクトルとベクトルとの見かけ上の掛け算の表し方は、成分間の掛け算の組み合わせで結果を約束しますので、積の方を使います。幾何ベクトルの場合は、積が二種類あります。用語としては「スカラー積・ベクトル積」または「内積・外積」の言い方があります。前者の言い方は、三次元ベクトルの場合に主に使い、積の結果がスカラーになるか、ベクトルになるかを区別します。二次元ベクトルの場合には結果が共にスカラーの約束ですので、後者の言い方で区別します。線形代数で扱うベクトルの場合には、スカラー積の約束だけしか定義しませんので、単に「積」と言います。
2008.3 橋梁&都市PROJECT

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